岐阜県で非常用自家発電機の負荷試験を実施|模擬負荷試験と実負荷試験の違いを防災専門会社が解説

停電時に建物の安全を維持する「非常用自家発電機」。
病院・福祉施設・工場・商業施設・ホテルなど、多くの建物で導入されていますが、普段はほとんど稼働しない設備でもあります。
そのため、
「いざ停電した時に本当に正常運転できるのか」
を確認するために重要となるのが負荷試験です。
今回は岐阜県内の施設にて実施した非常用自家発電機の点検・負荷試験について、
模擬負荷試験と実負荷試験の違いを含め、防災専門会社として現場目線で詳しく解説します。
非常用自家発電機とは何のために設置されているのか
非常用自家発電機は、停電時に建物へ電力供給を行うための設備です。
消防設備だけではなく、
- 非常照明
- 排煙設備
- スプリンクラーポンプ
- 自動火災報知設備
- 非常放送設備
- 防災センター設備
- エレベーター
など、建物の安全維持に関わる重要設備へ電源供給を行う役割があります。
特に病院や高齢者施設では、停電時に発電機が正常起動しなければ、人命にも大きく影響する可能性があります。
そのため消防法や建築基準法に基づき、定期的な点検・維持管理が必要となっています。
なぜ負荷試験が必要なのか
非常用発電機は、月例点検などで定期的にエンジン始動確認を行っている施設も多くあります。
しかし、無負荷運転だけでは発電機内部の状態確認として不十分なケースがあります。
特にディーゼルエンジン式発電機では、長期間低負荷運転が続くことで、
エンジン内部へ未燃焼燃料やカーボンが蓄積し、
「ウェットスタッキング」と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。
この状態が進行すると、
- 黒煙発生
- 出力低下
- 燃焼不良
- エンジントラブル
- 非常時の起動不良
などの原因になるため、一定負荷を実際に掛けた運転確認が重要になります。
実際に大垣市で実施した自家発電機点検の事例については、
大垣市|自家発電機の点検を実施|“非常時に動かない”リスクを現場で検証した事例
でも詳しく紹介しています。
今回実施した非常用自家発電機点検の内容
今回対応した岐阜県内の施設では、年次点検に合わせて非常用自家発電機の負荷試験を実施しました。
現地確認では、
- 蓄電池電圧確認
- 冷却水確認
- エンジンオイル確認
- 制御盤状態確認
- 絶縁状態確認
- 始動確認
- 運転状況確認
- 排気状態確認
などを順次点検。
始動直後の状態だけではなく、
一定時間運転を継続しながら発電機の温度上昇・排気状態・電流値変動なども確認していきます。
模擬負荷試験とは
模擬負荷試験とは、
専用の負荷試験機を発電機へ接続し、人工的に電気負荷を掛ける試験方法です。
負荷試験機を使用することで、
実際の停電状態を作らなくても、発電機へ安定した負荷を与えることが可能になります。
特に近年では、この模擬負荷試験を採用する施設が増えています。
模擬負荷試験のメリット
- 安定した負荷を掛けられる
- 短時間で試験実施しやすい
- 建物側への影響を抑えやすい
- 試験条件を管理しやすい
- 排気温度上昇確認がしやすい
また、一定負荷を継続的に掛けることで、
エンジン内部のカーボン除去効果も期待できます。
模擬負荷試験で確認するポイント
- 周波数変動
- 電圧変動
- 電流値
- 異常振動
- 異音
- 黒煙発生有無
- 排気温度
- 連続運転状態
単純に「動いた」だけではなく、
負荷状態で安定運転できるかを確認することが重要になります。
実負荷試験とは
実負荷試験とは、
建物内の設備を実際に発電機へ接続し、本番に近い状態で行う試験方法です。
例えば、
- 非常照明
- 排煙設備
- ポンプ設備
- 館内負荷設備
などを実際に稼働させながら発電機運転を確認します。
模擬負荷試験が「発電機単体確認」に近いのに対し、
実負荷試験では建物全体の連動確認が可能となります。
実負荷試験のメリット
- 本番に近い状態確認ができる
- 切替動作確認ができる
- 建物設備側異常も発見しやすい
- 総合的な防災確認が可能
実負荷試験で発見される不具合例
- 自動切替不良
- ブレーカー異常
- 負荷偏り
- 配線異常
- 接触不良
- 設備側起動不良
実際の現場では、
発電機本体よりも切替盤や制御系統側に不具合が見つかるケースも少なくありません。
模擬負荷試験と実負荷試験の違い
| 項目 | 模擬負荷試験 | 実負荷試験 |
|---|---|---|
| 試験方法 | 負荷試験機を接続 | 建物設備を実際に稼働 |
| 確認対象 | 発電機本体中心 | 建物全体 |
| 試験難易度 | 比較的実施しやすい | 高い |
| 建物影響 | 少ない | 調整必要 |
| 特徴 | 安定負荷確認 | 実運用確認 |
施設状況によって適切な試験方法は異なります。
建物用途・設備構成・停電リスクなどを踏まえ、
適切な方法を選定することが重要になります。
負荷試験で実際によく見つかる不具合
非常用発電機は「普段動かない設備」であるため、
実際に負荷を掛けた際に初めて異常が発覚するケースがあります。
現場で多いのは、
- 蓄電池劣化
- 燃料系統不良
- 始動遅延
- 黒煙発生
- 出力不足
- 冷却系統異常
- 制御盤警報
- 電圧不安定
などです。
特に長期間負荷運転を実施していない設備では、
低負荷運転による内部汚れや燃焼不良が進行していることもあります。
「月例点検では問題なかったが、負荷試験で異常が発覚した」
というケースも現場では珍しくありません。
非常時に本当に動くのかを確認する重要性
地震・台風・落雷・設備事故など、
突然の停電リスクは年々増加しています。
非常用発電機は、
その瞬間に正常稼働しなければ意味がありません。
特に防災設備は、
「設置されていること」ではなく、
「非常時に確実に動作すること」が重要です。
普段は見えない設備だからこそ、
定期的な点検と負荷試験による状態確認が必要になります。
非常用発電機の負荷試験義務や法令上の考え方については、
非常用発電機・自家発電設備の点検は義務?負荷試験の必要性を消防設備士が解説
でも詳しく解説しています。
株式会社大井ぐるーぷでは、
岐阜県・愛知県を中心に、
非常用自家発電機点検・模擬負荷試験・実負荷試験・消防設備点検まで対応しております。